プロローグ


 「そういえば、明日はバレンタインデーですわね」
切っ掛けはフレデリカ・グリーンヒルのこの一言だった。普段ならこの手のことにまったく関心のないヤンがこの時ばかりは何か考え込んだ末に、口を開いた。
「…すまない、午後から何も予定がなければ早退しても構わないかな。少し、買い物に行きたいんだ。すっかり忘れていたよ」
「え、えぇ。午後から予定は特にないので、問題ありませんけれど…」
フレデリカは驚きに固まった声でそう応じた。毎年、バレンタインデーなどにはまったく関心を示す様子なく、大量のチョコやらプレゼントやらが司令官室に届けられて、あるいは被保護者からプレゼントを受け取って初めて今日がその日だと気付くのがヤンの常だった。もちろん、彼が誰かにプレゼントしたことなど、フレデリカの知っている限りではないことだった。だが、今のニュアンスでは、明らかに早退してプレゼントを買いに行くとしか思えない。
「あの…閣下も誰かにプレゼントを…?」
本来ならあまり差し出がましいことを訊く彼女ではないのだが、つい気になって訊ねてしまう。
「うん…まぁね」
ヤンは照れ臭そうに頭を掻いただけで、それ以上は話そうとしなかった。



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