第一話 冷也 〜3〜


 「ありがとう。私はそなたに助けられたのだな」
冷也から事の経緯を聞き終えた水鈴は、ふわりと微笑んで礼を述べた。その笑顔に思わず冷也は言葉を失う。
 冷也は何を考えているんだと自分を叱咤すると、
「ああ、・・・別に気にすることはない」
と曖昧に返事を返した。
 「どうかしたのか?」
じっと自分の方を見て黙り込んでしまった冷也を不思議に思い、水鈴が顔を覗き込んでくる。蒼い瞳がその中に映る自分の姿が見えるぐらいの距離に近づいてきて、冷也は焦って顔を離した。顔が火照っているのが自分でもわかる。
 「もしよかったら、お前の事情も聞かせてくれないか?」
誤魔化すように問うた言葉に、水鈴の表情が明らかに曇りを見せた。
「別に嫌なら構わない」
水鈴の表情を見て慌ててそう言う冷也。口調こそ素っ気ないが、水鈴には冷也の気遣いが充分に伝わった。
 「いや、辛いことを思い出しただけだ。話すのが嫌というわけではない」
顔から陰を消し去り決然とそう言う水鈴の大人びた表情を見て、冷也はやるせなく感じる。子供のするべき表情ではなかった。
 先程ココアを飲んだときなどに無邪気な笑顔見ているから、余計にそう思ってしまうのだろう。
 表情を曇らせる冷也を余所に、水鈴はそのままの表情で話し始めた。
「これから私が話すことは人間には信じ難いことだと思う。信じる信じないはそなたの自由だが、私はそなたに包み隠さず真実を話すと誓おう」
大仰に前置きしてから、水鈴は自らのことを話し始めた。



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