第二話 学校 〜4〜


 「氷月君、少しいいですか?」
放課後、連斗と共に荷物を纏めているところに、声を掛けてきたのは担任の神崎 泉だった。
「ああ」
連斗に先に帰ってくれるよう断って、水鈴は神崎先生の後に付いていく。
 神崎先生は、偶然にも水鈴が転校してきたのと同時に、急病になった先生の替わりにやってきた先生で、外国から来て不慣れな水鈴に色々とよくしてくれる。
 いつも一つに束ねられた銀色の長い髪と切れ長の紫の瞳、それに日本人離れした長身はを持つ彼も、純粋な日本人ではないらしい。
 担当教科は数学だが別の教科にも通じていて、ことあるごとに色々と助けてくれる彼を、水鈴も信頼していた。
 連れてこられた相談室で、水鈴は白皙の美貌に爽やかな笑みを浮かべた神崎先生と向かい合う。
「どうですか? 学校生活には大分慣れたみたいですが、何か困ったこととかはありませんか?」
「大丈夫だ。強いて言うなら勉強が遅れていることだが、それも何とか追いついてみせる」
数学は天界と大差ないし、語学は翻訳の術で何とかならないでもないが、社会科に関しては酷いものだ。何せ、自分が住んでいる都道府県さえもわからない。まあ、当然と言えば当然である。
 「そうですか。僕で力になれることがあればいつでも協力しますから、遠慮無く言ってくださいね。教科外の勉強や日常面でも力になれると思いますから、困ったことやわからないことがあればいつでも来てください」
「ありがとう」
水鈴が礼をいって微笑むと、神崎先生もにっこりと優しい笑顔を返してくれた。
 別れの挨拶をし、そのまま背を向けて去っていく水鈴を、神崎先生は熱い瞳で見送る。
 自らに向けられた視線の熱さに、水鈴が気付くことはなかった。



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