第二話 学校 〜5〜


 水鈴が相談室を出て靴箱へ向かうと、そこにはだるそうに靴箱に凭れた連斗がいた。
「待っていてくれたのか? 先に帰ってくれてよかったのに」
「お前だけだと、危なっかしいんだよ。すぐに絡まれるし、学ラン着てるのに女と間違えられてナンパされるし」
ブツブツとそういう連斗に水鈴は嬉しそうに笑いかけた。
「心配してくれたのだな。ありがとう」
「別にっ・・・」
赤くなって否定する連斗を水鈴が不思議そうに見つめていると、からかうような笑い声が聞こえた。
 「なーに赤くなってるの、連斗? もしかしてあんたってそっちの趣味があったわけ?」
「なっ、んなわけねーだろ!! いちいちうるせー、この風紀委員!!」
 連斗が叫び返した先には、肩まである茶色い髪を黒ピンでとめた、活発そうな少女がいた。
「私は風紀委員じゃなくて、副会長よ。何度言ったら覚えてくれるの?」
「てめぇなんか、風紀委員で充分だろ」
「何、それ。感じ悪っ」
 いがみ合いを始める二人に、水鈴が割ってはいる。
「小雪、今帰りか?」
そう問われて、小雪は連斗との不毛なにらみ合いを止め、水鈴の方を向いた。
「ええ。生徒会の会議があったから、ちょっと遅くなっちゃったけど。ちょうどいいわ、久しぶりに一緒に帰りましょ」
 小雪は連斗の幼なじみで、一年にしてこの学校の生徒会副会長を務める優等生だ。
 水鈴とも仲がよく、少し前まで三人一緒に帰っていたのだが、最近小雪が生徒会で忙しかったため随分とご無沙汰だった。
 「誰がお前みたいな風紀委員と一緒に帰るかってんだ」
不機嫌そうにそう言う連斗に、小雪は意味ありげな視線を向けた。
「ふーん。そんなに水鈴くんと二人っきりで帰りたいんだ。じゃあ、しょうがないよね。他人の恋路を邪魔して馬に蹴られるのも嫌だし・・・」
「なっ、別にそんなんじゃねぇ!!」
「じゃあ、私が一緒でも問題ないわね」
「・・好きにしろ」
 完全に負けている連斗がさっさと歩き出し、水鈴と小雪が並んで彼に追いつく。
 久しぶりに三人並んだ帰り道に、水鈴は嬉しい想いを素直に表情に出し、連斗はぶっきらぼうながらやがり彼と同じように感じていた。小雪ももちろん同じ想いだ。
 三者三様の表情を浮かべた三人は、同じ想いを共有しながら他愛ない会話を交わしつつ、いつもより少しゆっくり目に帰路を歩んで行った。



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