第四話 焼き餅 〜5〜


 五時間目の英語の授業。
 泉のことで思い悩み沈んだ顔で考え事をしていた水鈴は、授業に集中できないならと美輪先生に問答無用で保健室行きを命じられた。
 反省はしたものの、美輪先生の言うとおりこのままでは授業どころではないと判断した水鈴は、お言葉に甘えて保健室でじっくり考えさせてもらうことにした。
 保健の先生はどこかへ出ているらしく、保健室は無人だったが水鈴は勝手に休ませてもらうことにして、保健室のベッドにころりと寝転がる。
 だが、次の瞬間勢いよく起きあがって、ベッドから転がり落ちた。
水鈴が転がり落ちたベッドに一条の光が突き刺さり、ベッドは一瞬で灰になって崩れ落ちる。
「鬼族か・・」
「久しぶりだな、王太子。いつぞやは邪魔が入ったが、今度こそ貴様の命をいただく」
そう言って現れたのは、この間水鈴を襲った鬼族だった。
 相手がすぐに術を放とうとするのを見て、水鈴も自らの前方に水の防御壁を築き上げる。だが、彼の予想に反して、相手は気付いたときには水鈴の後ろにいた。
「うっ・・・くあぁっ」
術による瞬間移動からすぐに攻撃に移るのに詠唱時間を短縮した為、鬼族が放った術はあまり威力の大きくないものではあったが、それでも放たれた風の刃は水鈴の白い肌を抉り彼の背中を真っ赤な血液が鮮やかに彩った。
 鬼族の余裕に満ちた高笑が保健室に響く中、水鈴の意識がどんどん薄れていく。何とか意識を保とうとふんばるが、まるで底なしの沼に嵌っていくように、ゆっくりとだが確実に、意識が沈み行く。
 「水鈴くんっ!!」
薄れ行く意識の中で、水鈴は焦ったような叫びを聞き、銀色の髪を視界に認めた。それを最後に、水鈴の意識は闇へと墜ちて行った。



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