第四話 焼き餅 〜7〜


 水鈴は瞳を開けた。一瞬自分は死んだのかと本気で思ってしまったが、心配そうに覗き込む紫の瞳を視界に認めて、自分が彼に助けられたと知った。そういえば、背中の痛みも既に消えている。
 「また、そなたに助けてもらったようだな。感謝を」
水鈴はゆっくりと体を起き上がらせた。
「いえ、遅くなってしまってすいません。こんな時のために魔石付きのネックレスを渡しておいたのに・・」
泉は申し訳なさそうな声でそう言った。
「何を言っているのだ。そなたは助けてくれたではないか。そして、私はそなたのお陰で命を失わずにすんだ。何をそなたが謝ることがあるのだ?」
「ですが、君はこんな怪我を・・・」
「それは私の未熟さと不用心が原因だ。そなたには何の非もない」
「ですが・・・・」
泉が言葉を詰まらせた。水鈴はそんな彼に笑ってみせる。
「心配をかけてしまったのだな。すまない。だが、私は全然平気だ。そなたが助けてくれたお陰で、今もこうして笑っていられる。だから、そんな顔をしないでほしい」
「はい・・・」
泉も端正な顔に柔和な笑みを浮かべる。
 水鈴はその笑みに複雑な表情を浮かべた。やはり、連斗や小雪の言っていたことは俄に信じ難い。
 「泉・・・そなたに話があるんだ。時間をとれるか?」
いつまでも泉をまたは連斗や小雪を疑ったままでいるのが嫌だった水鈴は、思い切ってそう切り出した。
「君のためなら、何を差し置いてでも時間を作りますが、急ぎのお話ですか?」
「いや、特別急いではいない。仕事が終わった後でよいから、ゆっくり話がしたい」
「わかりました。ではうちにいらしてください」
「わかった。じゃあ、そなたの仕事が終わるまで学校で待っていよう」
「ええ。お願いします。君が倒れたので送っていくと言ってできるだけ早く抜けるので、ここで寝ていてくださいね」
堂々とそう言う泉に水鈴が眉を顰めた。
「そなた・・・それは狡休みというのではないのか? そこまでせずともよいぞ」
「僕は何も嘘は言いませんよ。君が倒れたのも事実ですし、僕は話が終わったら君を自宅または翌朝の学校まで送り届けますし」
「そんなものであろうか・・・・」
「はい。多少の誤差は言葉のあやというやつですよ」
「・・・・まあよいか。では、私はここで眠って待っておる」
水鈴はそう言ってまたベッドに横たわった。



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